獅子舞の笛

私の所では、七孔の縦笛を使っています。


はじめに

■笛は、私が小学生の頃「やよんさのおじじ」(故:東海弥右エ門氏)に習いました。 その「おじじ」の家へ毎晩、通った思い出が有ります。 その「おじじ」は、天狗・獅子頭となんでもござれで、かつ、優雅な踊りが記憶に残っています。

■祭が近づくと、獅子舞の練習やら色んな準備をしなくてはならないので、笛の練習どころではないのです。 従って、祭のほとぼりが冷め、田植も終わった農繁期に「おじじ」の家を訪ねていました。 笛そのものは「おじじ」に借りたので、いつも手ぶらで済んだのです。 典型的な田造りの家で、練習は、いつも広間(座敷の横)で行なっていました。

篠笛

■小学の5〜6年生では「いやさ・あんのき・ばんがやし」等は必須科目なのですが、 笛の方はそれに反し、かなり難しかったのでした。 「ばんがやし」は二節(ふたつぶし)で済みましたが、「あんのき」は四節(よつぶし)、 「いやさ」に至っては八節(やつぶし)も有ったのです。 大人になって、その「いやさ」も、六節までしか覚えていなかった事に気付いた頃には、 その「おじじ」は永眠となってしまったのです。


笛はどこで売っているか

■私の所では篠笛と言っても横笛とは違い、七孔の縦笛を使っています。 これは、氷見のどこを見て回っても同じでした。
当時の私は、本町の「泉衣料店」で笛を買いました。 顔をしげしげ眺められ、その内、奥から戻ると適当な1本が手渡されたものです。 今は、やっているかどうか分かりませんが。

篠笛

■最近は、戸出の「大国屋」で買いました。 色んな仕上げや音程の笛が沢山有り過ぎて、どれが良いやらさっぱり分かりません。 今度、買う時は気に入ったピッチの笛を、予め用意して行こうと思っています。 また、花尾カントリーの食堂に高級な笛が陳列してあります。 解説によると、どうやら福岡町で作っているらしいのです。 でも、値段が値段だけに手が出ません。 私らビジターのプレー・フィを遥かに越えてしまうのですから。

■ところが、このページの読者からのリポートを頂きました。 比美町の「花村商店目谷屋」(415号の中の橋・本川藤由を越え、山側らしい。)では、今でも売っているのだそうです。 そうすれば氷見獅子専用の笛が、悩む必要も無く手に入るでしょうね。

獅子笛の運指表

■獅子笛の運指は、右手・左手の薬指を固定したままで、人差指と中指しか動かさないのです。 ところが「昔」だけは違い、右手の人差指を固定するのです。

※表の●は閉孔、○は開孔を示す。 ◎はトリル(~,さし指)を示し、いわゆる「ピーヒャラ」となる。 甲音(かんおん)とは、呂音(りょおん)・筒音(つつね:笛の基本波)の二倍音、和(ふくら)とも言う。 人間の裏声に相当する。 大甲(だいかん)または責(せめ)は三倍音を言い、人間の声では悲鳴かな?

※周波数の表記は 気まぐれ歴史散歩電脳調子笛を利用しました。 ◎(トリル)の場合は押さえた場合の表記です。ただし、それぞれ笛のピッチが異なるので、最近使用している笛を参考としました。 ちなみに西洋音名の基準音Aの周波数は440Hz(ヘルツ)と言いますから、獅子舞の笛は割と甲高い(約4倍音)部分で演奏しています。

■通常の運指表(符号は私が勝手に付けました。)

■「昔:むかし」の運指表(当地の獅子舞では、この一曲しか無い。)

■表のパターンを見ると、何か「昔」の方がクラッシックですね。


雅楽の横笛との関係について

■獅子笛とは一体、何だろう。在所の神社の神事で使う笛は、宮司さんに聞いたところ、どうやら「龍笛」らしい。 もし、氷見の獅子舞が神楽(かぐら)から派生したとすれば、雅楽の横笛(おうてき)との関係は無いだろうか?

■◎は半開き、「フ」は和(ふくら)、「セ」は責(せめ)を示す。 この表を見る限り、どうやら獅子笛と横笛の関係は無さそうでした。

■当地の古江神社での神事では、浅略神楽といって太鼓に合わせ「龍笛」が吹かれる場合がある。 「上水流神楽」と言うらしい。


邦楽の篠笛との関係について

■次に、邦楽の篠笛を見てみよう。これも縦笛では無く横笛しか無い。 色んな調子が有るらしいが、ここでは八本(笨:ほん)調子の甲音を見てみよう。 篠笛は、本数が一本上がる毎に調子は半音づつ高くなると言う。

■う〜ん。唸ってしまう。イメージは違うかも知れないが、このままでも「昔」は鳴らせるだろう。 獅子笛の運指のままでも、替指として通用するかも知れない。 少なくともスペリオ・パイプよりは、獅子笛に近い雰囲気だと思う。 いつか、買って吹いてみよう。


参考:邦楽の音階について

■邦楽の関係を色々調べてみました。(数値は周波数を表す。)

洋楽の音名
DD♯・E♭EFF♯・G♭GG♯・A♭AA♯・B♭BCC♯・D♭
嬰ニ・変ホ嬰ヘ・変ト嬰ト・変イ嬰イ・変ロ嬰ハ・変ニ
ddiseffisggisaaisbccis
293.7311.1329.6349.2370.0392.0415.3440.0466.2493.9523.3554.4

洋楽の階名(ハ長調の例)
ReMiFaSolRaSiDo
ファ
下属音(W)属音(X)主音(T)
サブドミナントドミナントトニック

中国の音名(上の行)・邦楽の音名(下の行)
こうしょうたいりょたいそうきょうしょうこせんちゅうりょすいひんりんしょういそくなんりょぶえきおうしょう
黄鐘大呂太簇夾鐘姑洗仲呂スイ賓林鐘夷則南呂無射応鐘
いちこつたんぎんひょうぢょうしょうせつしもむそうぢょうふしょうおうしきらんけいばんしきしんせんかみむ
壱越断金平調勝絶下無双調鳧鐘黄鐘鸞鏡盤渉神仙上無
292.7305.6326.2343.1365.7391.5410.1437.0460.0491.5517.3549.5

三味線の本数
六本七本八本九本十本十一本十二本一本二本三本四本五本
尺八の筒音と一尺八寸管の音名
1尺8寸1尺7寸1尺6寸1尺5寸1尺4寸1尺3寸1尺2寸1尺1寸2尺2寸2尺1寸2尺1尺9寸
ツメツ中レメリメリ中ロメ

邦楽・都節の音階(陰音階での下降の例)
きゅうしょうかく
同音階の上昇の場合
きゅうえいしょうかくえいう
嬰商嬰羽

■どうやら、獅子笛と邦楽との関連は全く無いようです。


おわりに

■氷見の獅子笛は、篠竹(地元では「づきだけ」という。)で作られた縦笛である。 書籍やネットで検索しても、邦楽では縦笛の記録は現れ無かった。

■新湊や砺波の獅子舞を見る機会が有ったが、囃子には横笛を使っており、 どこも縦笛は見かけ無いようである。

■中途半端なページになって、ご免なさいね。 でも、このページがきっかけとなり、「氷見の獅子笛」の議論が増えると良いと思っています。


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